映画採点ブログ

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【採点】GODZILLA 星を喰う者(2018)

インタビューなどの情報なし 映画のみの感想です
劇場 で鑑賞

プロローグあらすじ

 ゴジラ・アースに対抗し得る「メカゴジラシティ」は崩壊した。数々の重い犠牲を払った。ゴジラは休眠に入ったものの、策を見つけられずハルオは希望を失いかけていた。そんなハルオ、そして士気を下げた兵を見て、メトフィエスは動き出す。今こそ、その時だと。

 アニゴジ3部作最終章! 高次元の戦いへ。

映画ポスター

感想

 面白いやんけ……ええ? 2章まで観て「(予想で)75点くらいかな……」とか思ってて申し訳ない。土下座しよう。

 分かってはいたけど1,2章は完全に下積みパートでした。私「んなことより生態系知りてえ」とか思ってたけど、本作のための必要最低限の描写しかしてなかったと思えばむしろスッキリしてて観やすい。ファンタジー作品の語り口を期待するのは良くない。

 いや、うん。劇場まで観に行って良かった。大満足でした。

 あ、でも先に言っておこう「ゴジラはもはやメインじゃねえ!

見どころ(点数)

ストーリー 25点
キャラクター 22点
配役・演技 18点
世界観・映像 15点
ゴジラ・ギドラ(造形) 5点
OP 3点

合計で88点としました
 1,2章で積み上げたものが一気に昇華されました。正直これまでが好みじゃなかったので期待もなく観に行ったけど、そもそも歴代ゴジラ映画と同じように観てたのが間違いだったようだ。でも「じゃあゴジラいらなくね?」って話でもなかった(一応)。

 本作はギドラさんが出てきます。既存のシリーズ作品での正式名称はキングギドラですが本作では「キング」は「虚空の王」と形容することで言い換えられてました。この虚空ってのもある意味重要な単語な気がするわ。

 ギドラはエクシフの星を滅ぼした怪獣ですが本作で、故郷を滅ぼされた絶望、怒りとは違う感情を抱いていたことが明かされます。
 ゴジラに地球を滅ぼされたハルオとは対極。だからこそメトフィエスに「真に私たちの神を信仰する資格がある」と見出されてしまったわけですが。

 本作では「信仰」の持つ意味合いが何重にもかかっていました。畏敬すること、供物として捧げるもの……「神を完成させるもの」と。

 この神に対する考え方、表現方法が非常によくできている。作品内では直接には言わないけれど「神は作られたもの」ということです。恐らく海外の映画ではやりにくいでしょう。日本映画バンザイ。

 そしてエクシフの信仰するものが作り物と仮定すると(あまり説明はされなかった)その他の描写に関しても、なかなか重たいものがあります。

 エクシフ、切ない民族でした。想像できるだけの未来を守るために生きればいいものを、優秀すぎるが故にはるか先の滅亡まで見通してしまったと。
 メトフィエスも完成しきった人格なので変容の余地もなく、ハルオとの友情も確実にあったはずですが「目的のための手段」という面が勝ってしまいました。

 エクシフは地球になんの思入れもない宇宙人の設定なんですが、メトフィエスを見てると、よくいる変容できない「人間」を見てる気持ちになりますねえ。他種族の突拍子もない話だと思うのは勿体ない。

 

アンチ(批評)コーナー、作品を好きな人は読まない方がいい(良心)

会話メイン -5点
 脚本が優秀すぎたのか、映像での希釈が殆どできていませんね。同時に会話というか説明というか、説法みたいなシーンが長すぎる。んで、言葉と映像の間に境界線がハッキリとある。「ここはお前の分担、干渉しないからこちらにも口出しするな」と作られたのではないかと思ったほど。人間の内面の話でしたので、難しかったんでしょうけれど。良い面もあった。エクシフの星の滅亡を描かないことで想像を掻き立てられました

3Dアニメ -4点
 「会話メイン」である欠点の減点が少ないのは、デメリットである「可視化を楽しめない」という落胆が少なかったからです。つまり、単純に3Dアニメとしてのクオリティが低い……ことを、これまでの2作品で分かっていたから。ゲームかな? ゲームならまだ許容範囲でした。ゴジラの質感はいい。全般の話をするとモーション、あとは人間、ギドラに関してはちょっと……造りが甘い。まあ、逆に「会話、ストーリーを楽しめた」のでこっちの減点も低めで。しかし、クオリティさえ高ければ円盤購入も視野に入れたいんだが……

セリフ -3点
 全体的にセリフが多いので仕方ないと言えば仕方ないけれど、同じ言い回しが目立ちました。「~なことは間違いないのに!」みたいなのも短時間で3回くらい言ってた気がする。小説の書き方でありますね、「同じ描写単語、言い回しは同ページではしない、なんなら極論、間隔が広ければ広いほどいい」と。演出とも思えませんでしたのでとりあえず違和感を感じないセリフを作ってほしい

 

 「神、宗教、信仰」とは「人間、感情」とは「命」とは。
様々な角度から幾度となく語られてきたテーマですが、こうやって定期的に世に出す価値はあります。
 定期的に作品化することで、若い人が現代の価値観で理解し、考えるいい機会となると思います。

 そんでもって、本作はその作品の中でも高レベルにまとまっています。特に若者は是非。学生でも。劇場にも20,30代の男性が多かったですし。女性もいた。脚本の虚淵玄さんや考察が好きな人にもいいんじゃないかな。


 最後に言いたいんですけど「杉田智和演じるマーティン・ラッザリが便利すぎ!」彼が一番ストーリーに貢献してたわ

入荷が死んでるぅ。主題歌、世界観に合ってて好きだったなあ(どうでもいい追記:iTunesで衝動買いした。良いぞこれ〜)

 

【追記・ネタバレ考察(?)】

上記のネタバレを比較的回避した記述だけでは分かりづらいと思うので個人的な考察載せておきます。考察っていうか……まだ公式サイトすらちゃんと見てないし、小説もコミカライズも読んでないのでもう解説済みならなんの意味もないメモやで。ネタバレ気をつけてね。

(個人的な)前提
・ハルオとエクシフは対極の存在である
ハルオ→幼少期に地球を滅ぼされて恐怖、絶望した。だが恐怖は早い段階で克服したように見える。現在は怒りをエネルギーに突っ走る。
エクシフ→畏怖、むしろ滅ぼしてもらったことがわかる。
・「神=ギドラ」は作られたもの

事実(映画内の描写)
・タイトル『星を喰う者』
・途方もない質量を持ったギドラ
・母船の重力異常(「どこへ連れて行く気だ!?」という違和感のあるセリフ)
・信者を献身(食われる)させる描写
・ゴジラの熱光線を曲げた

考察
 まあこの流れで分かるかと思います。恥ずかしいですが最後まで書かせてください。ギドラは質量を持っていて、重力まで持っている。ゴジラの光線を曲げるだけの。多分あの描写はそういう事ですよね、一般相対性理論「重力は光をも引き寄せる」つまりギドラそのものが地球のような……「星のようなもの」……お? 星?

 星を喰うもの、ってタイトル。考えたんですが星って、地球のことではないですね。エクシフの星ですよ。正確には「星を喰った者」もしくは「(地球という)星を喰える者」だけどタイトルとしてダサいな。
 でもそうならギドラが持ってる質量と重力には説明が付きます。ここで献身の話を思い出しました。

 「時は来た、祈れば姿を現しゴジラを倒すことが出来るだろう(要約)」……聞いた時はなんて典型的な宗教のセリフだと思ったが。現れちゃうんですねえこれが。祈りも儀式もマジもんですわ。なんか青い断面晒して死んでいきましたね。モブっぽいとは思っていたが、あんなアッサリ梶さん(アダム)が死ぬとは思わなんだ。
 「虚空の王」なんて言われてましたが、虚空って「何もない空間」ですよ。何もない空間に何かいるわけない。なにかが出てくるわけがない。

 なら、ギドラってなにで出来てるんだ?

 ハイ、信仰心だと思いマス。ナンチャラ演算(ゲマトロンな……こういう用語覚えられないわ……)で滅びの未来を見てしまったエクシフたち。怪獣の存在ではなく、確実に滅ぶ宇宙に絶望したんでしょうね。でもそれに付け入るのが宗教だってそれ一番言われてるから。

 というわけで神を創って民族と星を捧げちゃった☆ なかなかぶっ飛んだ仮定だがやりかねん。正直この辺は何をどうしたのかわからない。見直せば何かあるかも。でも妄想は捗る。(緑の石が投影機のようなモノとも考えられる……)
 信仰心が形を作り、供物(人、星、その他諸々)が中身を作った
 というのが一応出した結論です。

 無機物ごと捧げちゃうシーンは映画内でもありましたね、母船の……。「どこへ連れて行く気だ!?」ってセリフで(単なる距離的移動の話だと思ったため)「は?」ってなったけど、ギドラの中へ連れて行くってことかよ……。エクシフの星もその要領ですよね。
 宣教師のメトフィエスなどの幹部以外はほぼ壊滅。「信仰心」が身とついでに星を滅ぼす(物理) 笑えんが。


 ハルオの話も少し。彼はなんたって「ゴジラを倒す!」と豪語する男です。一見無謀に見えるけど、有効打は確かにあったし、エクシフならとうに気がついていたことです。人間がそれに気がつき、恐怖や絶望より「なんとかせねば!」という怒りを持つことは、つまりあの状況下でも諦めず「人間はゴジラ以上に強い!」と思えているという事にもなります。何度か言われていましたがハルオ自身が希望の象徴のようなもんですね。

 そこに目をつけたメトフィエス。「こんな強い感情を持てるハルオが再び絶望をして、強い信仰を捧げれば我らがギドラは完全体になる!」……ザックリだけど、これまでの考察からするとこんな感じでしょうかね……。病んでるなあエクシフ、というかメトフィエス。

 やっぱり通しで1回観ただけじゃ情報量が足らんので仮定に仮定を重ねるようなものしか書けない。が、なによりも私が本作で評価したいのは、独自解釈の神を具現化(ギドラという既存の姿形だが)したことである。日本ならではというか……わりと強烈な宗教批判でもありますし。ゲームや漫画で何か叶えてくれる神とか、ポケモンならめっちゃ強いアルセウスとか、神って色々描かれてるけど、創作物において人による信仰ってあまり真正面から捉えられてない気がする。あっても自然信仰。

 それにです! 普通にギドラ怖い! 「信仰心という感情」が質量を持つ!? 怖くない? えっ……?

 神とは畏怖の対象だ、と言うのなら本作のギドラはまごうことなき神でした。私による二次的信仰始まっちゃいそうです☆ は、冗談にしても。

 

 いつか宇宙は滅びるけどそんなことは気にせず、せめて自分の子供や孫の世代くらいを幸せに出来るように世界を作っていけたら良いですね……。